大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1020 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人森田吉太郎上告趣意第一点について。

論旨は、本件被告人等の被害者に加えた暴行脅迫が、被害者を抗拒不能ならしめ

る程度のものでなかつたことを主張している。しかし暴行脅迫が如何なる程度のも

のであつたかということは、事実認定の問題である。原判決は、被告人等が被害者

に暴行を加え、「その反抗を抑圧し」よつて同人所持の物品を強奪したことを認定

している。そうしてこの事実は、原判決挙示の証拠によつて証明できることである

から、この点について原判決には何等の違法もない。被告人等の所為にして右の通

りであるとするならば、原判決がこれを恐喝罪としないで、強盗罪にあたるものと

したのは当然であつて、その間所論のような擬律錯誤の違法は存しない。よつて論

旨は理由がない。

同上第二点について。

論旨は被告人等が被害者の物品を一時借りたものであること、並に本件犯行が復

讐のためになされたものであることを主張している。しかしかような主張は結局原

判決の事実認定を非難することに帰する。原判決が認定した強盗の事実は、その挙

示の証拠によつて十分に証明できるのであるから所論のような審理不尽の違法は存

しない。よつて論旨は理由がない。

被告人Aの上告趣意について。

論旨は、結局、原判決の事実誤認及び量刑不当を主張することに帰する。何れも

上告適法の理由となり得ないものであるから、採用することができない。

右の理由により刑事訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見によるものである。

- 1 -

検察官 宮本増蔵関与

昭和二三年一〇月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!